正しい鍋ねこの作り方。
ぽかぽか陽だまりの本日は、鍋ねこをつくるのに最適な日です。
休日でもある今日は、なーちゃんがぱたぱたとお家のお掃除をしています。
お掃除の手伝いをしているつもりのエドねこちゃんとアルねこちゃんは、やっぱり心情的に邪魔をしているようです。
仕方がないので、なーちゃんは買ってきたばかりの雑誌に書かれていた鍋ねこを作ることにしました。
「えーと、鍋を日のあたる場所に置いて暖めます。そこにあとはひたすら猫が入るのを待つばかり。っと」
書かれていた雑誌のとおりになーちゃんは、日が差し込む窓際に鍋を一つ置きました。
「さて、掃除するか」
しばらく様子見て、鍋に興味を持ったエドねこちゃんとアルねこちゃんが近づいてきたのを確認してからなーちゃんはそう呟いて、掃除に取り掛かりました。
『にいちゃ、なんだろうこれ』
『なんか、ごつごつしてかたいな』
ちょこちょこと、鍋の周りを歩き回ってエドねこちゃんとアルねこちゃんは、様子を伺っています。
やがて、好奇心旺盛なエドねこちゃんとアルねこちゃんは鍋を触ったり、匂いを嗅いだりしています。
『アルゅ、なんかごつごつしてるけど、なかはつるつるであったかいぞ』
『‥ほんとだ、つるつるであったかい』
『なぁ?』
『うんっ』
数瞬の間を置いてエドねこちゃんとアルねこちゃんは同時に頷くと、鍋の中に入っていきます。
ぬくぬく、ぽかぽかのあったかベッドです。
ほんわりと温かな日差しがエドねこちゃんとアルねこちゃんを心地よい気持ちにさせます。
『にいちゃ、ここでねよう』
『ん。アルゅねよう』
『でも、うまくねられるかなぁ』
『ちょっとずつ入ればたぶんいける』
『うん、そうだね』
『よし、まずはオレからだ』
鍋の中で立っていたエドねこちゃんとアルねこちゃんは、ちょっとづつ互いの身体を寄せ合って包まって、すっぽりと鍋の中に納まります。
ふんわかぬくぬくのその温かなベッドがとてもここちよくて――――。
日差しのぬくもりに包まれて、エドねこちゃんとアルねこちゃんは、すぐに夢の住人となりました。
ぱたぱたと足音とともに、なーちゃんがリビングに戻ってきてねこ鍋をのぞきました。
「‥‥かわいいー」
瞳をきらきらさせて、なーちゃんが開口一番に言いました。
鍋の中に包まるようにして寝ているエドねこちゃんとアルねこちゃんはとってもとってもかわゆくて穏やかで、なーちゃんの表情を和ませました。
さて、なーちゃんはいそいそとカメラを持ち出してこの鍋ねこの姿を写真に収めたのでありました。
後日、その写真を見てエドねこちゃんとアルねこちゃんがどう思ったかはまた、別の話。
鍋ねこ
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