段ボールの箱に入っている兄にゃん。
そのまえを通りかかったアルにゃ、喜び勇んでダンボールの中へ飛び込み、兄にゃの隣に並んで入る。
しかし兄にゃん、今日は虫の居所が悪いらしい。
「オレが先に入ってたんにゃ! 邪魔するにゃ!」
「一緒に入ろうにゃん。僕、段ボール箱も兄にゃんも大好きにゃ」
「たまには一人になりたいんにゃ。どうしてそう、オレの後をついてくるにゃ。あっち行けにゃ」
「いやにゃ」
「もーっ、兄にゃん、怒ったにゃ! オレがあっち行くにゃ!」
フーッと唸って段ボール箱を飛び出す兄にゃん。アルにゃを1匹残し、パトロールを兼ねて良い場所探し。
ふわふわの座布団の上、日差しがぽかぽかの廊下、お日様の匂いがするお布団、ぬくぬくと温かいお風呂の蓋の上。
ウロウロして家中くまなく探すのに、何故かほんわか気持ちよくなれそうな場所が見つからない。
みゅ〜、と耳を下げ、しばし思案の兄にゃ。
意を決し、とたとたと早足で最初の場所へと戻る。
同じ場所にある段ボール箱。同じ場所にいるアルにゃ。
兄にゃんは、ぴょん、と茶色い箱の中に飛び込むと、箱の隙間の中をもぞもぞと動き、アルにゃの隣に腰を下ろして体をぴったりとくっつけ、並んで箱の中に入る。
じーっとアルにゃのほうを見て、兄にゃは弟の耳をペロペロと舐めた。
ちょっと悔しいが、やっぱり兄にゃんの一番好きな落ち着く場所は、アルにゃの隣だったりする。
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